〈自然農的農業のすすめ〉その9〜小豆の選別〜

あさひくんの呼吸を感じながら作業

 本格的に寒い冬の到来ですね。ねっこ自然農園では田畑でする作業はほぼ終わっているそうで、今週も加藤さんのご自宅に。
お手伝いの内容は、そうです。小豆の選別です。


 前回のお手伝いは大豆の選別でした。頑張って莢を割り豆を取り出しましたが、帰宅時に本日の成果を見たら殆ど進んでいなくてガッカリしたのでした。それに比べ小豆の選別は楽しくできました。

袋いっぱいの無選別状態の小豆
この棍棒、愛嬌があって好きな道具です


 マンガ肉の様な棍棒で叩いて莢を割り、床に溜まった小豆を袋に移していきます。大豆に比べ莢が割れやすく、乾燥も上々なので凄く作業しやすいです。大豆と同様に莢が割れにくい場合は虫が食べていたり、痛んでいたりします。健康な莢は簡単に割れ、小豆もツルツル綺麗です。未熟な莢も少し傷んでそうな莢も割り、中身を確かめてみます。やはり多くの不健康な莢は豆がカビていたり、虫に食べられて穴が空いていたりと、商品になりません。無農薬で栽培する大変さを知ります。

 一段階目の選別が終わった時点でお昼になりました。
加藤さんの自宅で持参したお弁当を食べるのですが、奥様が「うち、今日はカレーなんです」と、レンコンとレンズ豆のカレーをご馳走して頂きました。我が家では豆はカレーに使いますが、レンコンは初めてでした。大好きな食材なので、何故今までカレーの具として使う事に気が付かなかったのだろう!と思うほど美味しかったです。お味噌汁も上品な味噌加減と海の香りがする出汁。流石でした。
食後には加藤さん焙煎の珈琲をいただき、お二人のご子息あさひくんとしばらく遊んで昼からの作業再開です。

こんな感じで唐箕(とうみ)代わりに

 収穫の際に使用した唐箕(とうみ)を覚えておられますか?<唐箕の記事はこちら>
今回は唐箕を使わずに扇風機を使用して細かな莢の破片や砂などを飛ばしていきます。扇風機の風より少し高い所からすくい上げた小豆を床に置いたタライに落としていくだけです。これだけで立派に唐箕の役割を果たします。2回繰り返すと殆ど豆だけの状態になります。
 次の工程は程よい網目のザルの上に小豆を置き、ザルを前後に揺らすことで一定以下のサイズや、割れた小豆をタライに落としていきます。昔の芝居などの効果音で波の音は筒に入れた小豆を傾け転がす事で出していたそうですが、まさにそんな音がします。波の音を感じながら選別もできるので癒されます。

ザルで割れた小豆や小さな小豆をふるい落とす

 ここまで来て、やっとハンドピッキングです。
 この作業は農園のクオリティなので加藤さんが担当されます。
緑色のお盆に少量小豆を置き、傷んでいたり虫食いがある小豆を別のタライに入れていきます。緑色のお盆を使用しているのはきっと豆の状態を見やすいからでしょう。銀色のお盆なんかでハンドピッキングするのは無理だと思います。一粒一粒チェックして、ようやく綺麗な一定以上のサイズの小豆だけが残りボウルに移されていきます。
大きなタライがハンドピッキング前、ボウルがピッキング後、緑のお盆の上でピッキングされる

 本当に手間の掛かる作業です。農薬で虫を殺したり作物を消毒したりすれば選別は楽になるのでしょう。そうやって楽を求め、便利を求め、大切な事を置いてけぼりにしているのが現代文明だと思います。文句を言っても仕方がない。自分はそんな肥大化した消費者としての自我を、自然農を手伝う事で戒めているのかもしれません。

 最近は二股に別れた根菜や虫食いのある葉野菜を見かける機会が増えてきています。
「見た目が綺麗じゃないと売れない」という考え方が過去のものになろうとしているのかもしれません。違和感に気付く消費者が増える事で「かたち」の綺麗さではなくどれだけ「自然に寄り添って育てられたか」を見極める方が増えてきた証だと思います。石があると根菜は二股、三股になるし、美味しそうな葉っぱはついつい虫も食べたくなる、ごく自然な事です。殺し、独占する…何かに似てますね。

ねっこ自然農園さんで<味噌、醤油作りのワークショップ>が開催されます。
ひげ店主は醤油のワークショップに参加予定です。



加藤さんと話してワークショップをひとつ思いつきました。
来年の今頃には実現したいです。